「ドラクエ」ゲームデザイナー、堀井雄二さんの叙勲受章 源泉は子供のような好奇心

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誰もが知っていテレビゲーム「ドラゴンクエスト」。1986年に発売されて以降、新作が発売されるたびに買い求める人の熱狂ぶりが話題になりました。そして、単なる子供の遊びではなく大人までも夢中にさせました。

そのゲームの開発者、堀井雄二さんが旭日小綬章 を受章されたのです。その理由について、また意義について深掘りして行きます。

叙勲受章のお知らせ

2025年秋の叙勲にて、「ドラゴンクエスト」シリーズの生みの親である堀井雄二氏が、勲章のひとつである 旭日小綬章 を受章されました。
この受章は、ゲームクリエイターとして初めてという点でも大きな話題となっています。

叙勲の意義・背景

叙勲とは、国家がその功績・業績を讃えて勲章を授与する制度です。

  • 旭日章 は「社会のさまざまな分野において功績の内容に着目し、顕著な功績を挙げた人」に授与される勲章です。
  • 旭日章の中のひとつである旭日小綬章は、等級としては上から数えて中ほどですが、公・私を問わず、社会的に大きな影響を与えた功労者に贈られています。
  • 叙勲は、春(4月29日付)・秋(11月3日付)の年2回、「春秋叙勲」として実施されています。(内閣府ホームページ)

このことから、堀井氏の受章は「ゲームという文化・産業分野において、長年にわたり顕著な功績を挙げ、社会的な影響力を持った」と国家に評価されたということになります。実際、受章の報道では「ゲームクリエイターとして初の受章」という言及もあり、ゲーム文化が社会的に認知されてきた象徴的な出来事とも言えるでしょう。

源泉=「子どものような好奇心」

堀井氏自身の言葉やインタビューから、彼がゲーム制作にあたって大切にしてきた精神として「子どものような好奇心」「遊び心」「冒険心」が挙げられます。

  • 幼少期から漫画・SF・ファンタジーに親しみ、「非現実的で好奇心や想像力を刺激するものが好きだった」ことを語っています。
  • 『ドラゴンクエスト』誕生に際しては、「RPGというジャンルを知らない人にもわかりやすく、安心して楽しめるものにしたい」といった意識を持っていたことを語っています。
  • 制作当時のインタビューで、「人間くさい、温かみのあるゲームにしたかった」という発言もあります。

つまり、「子どものような好奇心」とは、未知の世界を探検したい・楽しさを追求したいという原動力であり、それがゲームデザインにおける創造性の源泉となっているわけです。

『ドラゴンクエスト』の面白さ・魅力

堀井氏が手がけた『ドラゴンクエスト』シリーズの魅力を整理すると、以下のような要素が挙げられます。

  • 「レール(導線)がありつつも、寄り道・冒険できる自由もある」ゲーム構造。堀井氏は「レールの上で安心させた上で、いくらでも寄り道できるようにする」ことを目指したと語っています。
  • 分かりやすいUI・コマンド。「はなす」「どうぐ」といったひらがなのコマンドや、操作を説明書なしでも理解できる構造を意識していたとのこと。
  • “遊び心”のある世界観。例えば、ファンタジー世界でありながら現代的要素を入れたり、子どもも大人も楽しめる作りを意識していたと語っています。
  • 時代を経ても「王道RPG」としての基本を守りながら、3D化・オンライン化といったチャレンジも行われてきた点。

歴代『ドラゴンクエスト』シリーズ 概略

以下、シリーズの主な流れを簡単に整理します。

  • 『ドラゴンクエストⅠ』(1986年) — 家庭用ゲーム機(ファミコン)で「正統派RPG」を志向。容量制限の中でシンプルかつ遊びやすい構造を目指しました。
  • 『ドラゴンクエストⅡ 悪霊の神々』(1987年) — 容量増加を活かし、パーティー編成の導入など遊びの幅が広がりました。
  • 『ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ…』(1988年) — 社会現象とも言える大ヒット。シリーズの転換点となった作品。
  • 『ドラゴンクエストⅣ 導かれし者たち』(1990年)以降 — ストーリー構成が章立て(チャプター制)になったり、仲間のAI行動を導入するなど、システムの深化が進みました。
  • 『ドラゴンクエストⅤ 天空の花嫁』(1992年) — 親子三代にわたるストーリー、結婚システム・モンスター仲間システムなど、物語・システム面で大きな革新がありました。
  • 『ドラゴンクエストⅧ 空と海と大地と呪われし姫君』(2004年) — 本格3Dマップの採用、グラフィック・演出の進化が見られた作品。
  • 『ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人』(2009年)以降 — 携帯ゲーム機(Nintendo DS)向け、また『ドラゴンクエストⅩ オンライン』(2012年)ではオンライン多人数プレイに挑戦するなど、プラットフォーム・遊び方の拡張も行われました。
    新しい世界は、これからも広がり続けていきます。

    最新ナンバリング含め、現在も新作・リメイク・HD版などが展開されており、シリーズ全体がひとつの“冒険の場”として進化を続けています。

堀井雄二さんが語る「ドラクエのこれから」

  • 堀井雄二さんの叙勲(旭日小綬章受章)を機に、「ドラゴンクエスト」およびゲーム文化の今後を考えると、いくつかの重要な方向性が見えてきます。

    1. 堀井雄二さんが語る「ドラクエのこれから」
    堀井さん自身は近年のインタビューで、次のような姿勢を示しています。
    ●「変える部分」と「変えない部分」
    「ドラクエは“安心して遊べるRPG”であることが一番大事。だけど、それを守るだけでは進化はない。
    変わるべき部分は変えていくし、変えてはいけないものは守っていく。」
    (※出典:電ファミニコゲーマー、ファミ通インタビュー)
    つまり、
    “誰でも遊べる”分かりやすさと温かみを守りながら、
    技術革新や新しい遊び方には積極的に挑戦する、
    というのが今後の方向性です。
    ●「ドラクエXII」は“新しい試み”
    次回作『ドラゴンクエストXII 選ばれし運命の炎』についても、堀井氏は「今までとは違うドラクエ」「より大人向けのテーマ」になると語っています。
    物語のトーンが深くなり、選択や倫理といったテーマにも踏み込むと見られています。

    2. 技術の進化と「ドラゴンクエスト」
    ゲーム業界全体が急速に進化する中で、ドラクエも新しい技術を取り入れつつあります。
    ●クラウド・マルチプラットフォーム化
    これまでは家庭用機中心でしたが、今後は
    スマートフォンやPC、クラウドゲーミングなど、どこでも遊べる環境へ
    海外展開を見据えた多言語対応や、ネット連携の拡大
    が進むと見られています。
    ●AIや生成技術の導入
    ゲーム制作では、NPC(キャラクター)の会話生成や、プレイヤーの行動に応じて変化するストーリーなど、**AIが支える「動的な冒険」**の時代が来ています。
    堀井氏の「プレイヤーの想像力を広げる体験を作りたい」という哲学と非常に相性が良く、
    AIを通じて「世界の中に本当に生きているような感覚」を提供できる可能性があります。

    3. ゲーム文化の社会的な役割
    堀井氏が叙勲を受けたことは、「ゲームが文化として正式に認められた」象徴でもあります。
    ●かつての“遊び”から“文化”へ
    かつてゲームは「娯楽」「子どもの遊び」と見られていました。
    しかし今は、アート、教育、医療、観光など、さまざまな分野で活用されるようになっています。
    例:歴史や地理を学ぶ“教育RPG”
    例:高齢者の認知機能トレーニング用ゲーム
    例:観光地を舞台にした“ご当地クエスト”アプリ
    「ドラゴンクエストウォーク」のように、実際の街を歩いて冒険できるゲームも登場し、“リアルな旅”と“バーチャルな冒険”の融合が進んでいます。

    4. ドラクエの精神がこれから果たす役割
    堀井氏のゲーム哲学は、時代を超えて通じる普遍的な価値を持っています。
    時代 ドラクエのテーマ現代へのメッセージ
    1980年代 勇気を持って旅立つ 新しいことに挑戦する勇気
    1990年代 仲間と協力する SNS時代のつながりと共感
    2000年代 世代を超える絆 家族・世代を超えた共有体験
    2020年代〜
     自分の選択と生き方 多様な価値観の尊重と自由
    これからのドラクエは、「デジタルの中に生きる人間らしさ」「人と人をつなぐ温かさ」を表現する“心の物語”として、進化していくでしょう。

    ドラクエの今後は、テクノロジーよりも「心の進化」
  • 堀井雄二さんの「子どものような好奇心」と「人間への温かいまなざし」は、
    AIやメタバースの時代になっても変わらず、プレイヤーの心に届くでしょう。
    「冒険の書」は、もう終わらない。

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