バカリズム、あまちゃんに勝てるか? NHK朝ドラ脚本に起用!

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バカリズム、あまちゃんに勝てるか?

バカリズムさんが『あまちゃん』を視聴率で超えることは、現代のテレビ環境を考えると極めて困難です。しかし、「あまちゃんに勝てるか」という問いは、必ずしも視聴率だけで測られるべきではありません。

宮藤官九郎さんとバカリズムさんは、ともに優れた脚本家でありながら、全く異なるスタイルを持っています。クドカンが「祭り」なら、バカリズムは「日常」。クドカンが「エネルギー」なら、バカリズムは「じんわり」。どちらが優れているかではなく、どちらも朝ドラという舞台で異なる魅力を発揮できるのです。

『巡るスワン』が目指すべきは、『あまちゃん』の模倣ではなく、バカリズムさんらしい「何も起こらないけれど、毎日見たくなる」朝ドラです。視聴者の日常に静かに寄り添い、ルーチンの中になくてはならない存在になること。それこそが、バカリズムさんが朝ドラで成功する道筋ではないでしょうか。 2027年春の放送開始まで、まだ時間がありますが、バカリズムさんが半年間どのような「日常の魔法」を見せてくれるのか、大きな期待とともに待ちたいと思います。宮藤官九郎が切り開いた芸人脚本家の道を、バカリズムさんが自分のスタイルでさらに前進させる――その挑戦を、私たちは温かく見守るべきでしょう。

バカリズムさんの朝ドラ進出、期待と注目の声

2025年11月21日、NHKは2027年度前期の連続テレビ小説『巡るスワン』の脚本をバカリズムさんが担当することを発表しました。これはバカリズムさんにとって初のNHKドラマ脚本であり、半年間にわたる朝ドラという大舞台への挑戦となります。発表直後からSNSでは「朝ドラまじか」「超期待!!!」「日常的に見れるバカリズムさんのドラマめっちゃ嬉しい」という期待の声が殺到しています。

制作統括が起用理由について「バカリズムさんさん脚本の『ブラッシュアップライフ』を見て、朝から”じーん”という言葉が出てくるようなドラマを作りたいと思った」と語ったように、近年のバカリズムさんの脚本家としての評価は著しく高まっています。しかし、2013年に平均視聴率20.6%を記録し社会現象となった宮藤官九郎脚本『あまちゃん』の壁は高く、バカリズムさんがこれを超えられるかどうかが大きな注目点となっています。

バカリズム脚本の特徴と評価――「日常」に魔法をかける手腕

バカリズムさんの脚本家としての最大の特徴は、**「取るに足らない日常を丁寧に描き、そこに非現実的要素を違和感なく織り込む」**という独特の手法にあります。代表作である『ブラッシュアップライフ』では、何度も生まれ変わりを繰り返す女性の物語に、SF要素と日常の微温感ある会話劇を絶妙に融合させました。最高視聴率7.1%と数字的には控えめでしたが、満足度調査では1位を獲得し、中国でも高評価を得るなど、質的な評価では圧倒的な支持を集めています。

バカリズム脚本の魅力

1.ワンシチュエーション会話劇の巧みさ ホテルのフロント、喫茶店、車中など、限られた場所での何気ない会話がシンプルに楽しく、視聴者に「あるある」という共感性を与えます。コント師としての経験が活かされた、削ぎ落とされた無駄のない脚本です。

2.緻密な伏線回収と予測できない展開 物語の初期から丁寧に張り巡らされた伏線が、最終回に向けて自然に回収されていく構造が高く評価されています。『ブラッシュアップライフ』では最終回まで一気に視聴してしまうほどの中毒性がありました。

3.「女性の友情」をフラットに描く視点 バカリズムさんは女性同士の連帯と友情を、取り止めのないおしゃべりと共に自然に描写します。『架空OL日記』で向田邦子賞を受賞したように、女性の日常を観察眼鋭く切り取る能力に優れています。

4.懐かしさのツボを押さえた固有名詞の使い方 80年代、90年代のポップカルチャー的要素を巧みに織り込み、幅広い世代にノスタルジーを感じさせる手法も特徴的です。

バカリズムはこれまで『素敵な選TAXI』(平均視聴率10.3%)、『架空OL日記』(向田邦子賞受賞)、『侵入者たちの晩餐』、『ホットスポット』(満足度1位)など、質の高い作品を生み出し続けています。2025年の『ホットスポット』では初回視聴率5.6%と数字的には『ブラッシュアップライフ』の5.7%にわずかに及びませんでしたが、「バカリズムさんの真骨頂とも言える上質でくだらない会話劇」として高評価を得ました。

宮藤官九郎さんとの違い――スタイルの対比

バカリズムと宮藤官九郎(クドカン)は、ともに芸人出身の脚本家という共通点がありながら、その作風には明確な違いがあります。

宮藤官九郎さんの特徴:

  • 圧倒的な言葉数と情報量の多さ:台詞が多く、アクションよりも会話のやり取りで物語を見せていきます
  • 笑いの手数の多さ:細部にわたり小ネタ、ギャグが潜ませてあり、気を抜くと見落としてしまうほどの密度
  • エネルギッシュで濃密な世界観:『あまちゃん』『木更津キャッツアイ』などに見られる、テンション高く熱量のある展開
  • 男子の絆とテレビっ子的感性:男性同士の友情やテレビ文化へのオマージュが作品の核にある
  • ドタバタ喜劇的要素:現実離れした展開も含め、派手でダイナミックな演出

バカリズムさんの特徴:

  • ミニマルで削ぎ落とされた会話:日常の些細で地味な会話にミニマルなおかしさを見出す
  • 微温感のある日常描写:派手さはないが、じんわりと心に染み入る温かさ
  • 静かで抑制された笑い:大げさでなく、気づいた人がクスリと笑うような上質なユーモア
  • 女性視点と観察眼:女性の日常や友情を細やかに描写する能力
  • SF的アイデアと日常の融合:非現実的要素を違和感なく日常に溶け込ませる手法

2014年には、バカリズム脚本『素敵な選TAXI』の初回視聴率10.7%が、クドカン脚本『ごめんね青春!』を上回り「連ドラ脚本でクドカン超え」と報じられたこともありました。ただし、これは作風の優劣ではなく、それぞれが異なる魅力を持つということを示しています。

「あまちゃん」という高い壁――社会現象の要因

バカリズムさんが挑む朝ドラの先には、『あまちゃん』という巨大な成功例があります。2013年に放送された『あまちゃん』は、平均視聴率20.6%、最高視聴率27.0%(9月16日放送)を記録し、もはや社会現象となりました。

『あまちゃん』成功の要因は以下のように分析されています。

1.総合力の勝利 宮藤官九郎さんの脚本力だけでなく、能年玲奈さん(現・のん)をはじめとする絶妙なキャスティング、大友良英さんによる印象的な音楽、80年代アイドル文化の取り込みなど、すべての要素が高いレベルで融合しました。

2.時代の空気との共鳴 アベノミクスによる日本再生への期待感と重なり、「地方から東京へ」というヒロインの成長物語が、日本全体の希望と共鳴しました。

3.朝ドラの王道を守りつつ革新 ヒロインの成長物語という朝ドラの王道を踏まえつつ、クドカンらしいコミカルなやりとりと細かいギャグで新しさを加えました。

4.東日本大震災からの復興の文脈 岩手県久慈市を舞台にしたことで、震災復興への応援という側面もあり、国民的な共感を得ました。経済波及効果は32億円以上と試算されています。

『あまちゃん』は、宮藤官九郎さんが脚本を手がけたドラマの中で、最高視聴率・期間平均視聴率ともにトップであり、朝ドラ史上でも屈指の成功作です。同時期の『半沢直樹』とともに「久しぶりにテレビドラマが話題の中心に返り咲いた」と記憶される作品となりました。

バカリズムの実力と可能性――「巡るスワン」への期待

では、バカリズムさんは『あまちゃん』の壁を越えられるのでしょうか。視聴率という数字の面では、『あまちゃん』を超えることは容易ではありません。テレビ離れが進む現代において、平均視聴率20%超は極めて高いハードルです。実際、近年の朝ドラでも『おむすび』が史上最低の13.1%を記録するなど、視聴率の獲得は困難になっています。

しかし、「質的な評価」「満足度」という観点では、バカリズムさんは十分に勝算があります。その理由は以下の通りです。

1.朝の時間帯との相性の良さ バカリズムさんが得意とする「何も起こらない日常」「じんわり心に染みる物語」は、朝の視聴習慣と非常に相性が良いと考えられます。派手さはないが毎日見たくなる、ルーチンの中に溶け込む作品になる可能性があります。

2.警察署の生活安全課という新しい題材 『巡るスワン』は、刑事ドラマではなく、生活安全課を舞台にした「日常」を描きます。バカリズムさん自身が「今までほとんどドラマの題材になったことがない」と語るように、新鮮な切り口です。バカリズムさんが最も得意とする「普通の人々の日常」を半年間描き切ることができます。

2.警察署の生活安全課という新しい題材 『巡るスワン』は、刑事ドラマではなく、生活安全課を舞台にした「日常」を描きます。バカリズムさん自身が「今までほとんどドラマの題材になったことがない」と語るように、新鮮な切り口です。バカリズムさんが最も得意とする「普通の人々の日常」を半年間描き切ることができます。

3.半年間の長期ドラマでの伏線回収 10話程度のドラマで見せてきた緻密な伏線回収を、半年間という長期スパンで展開できることは、バカリズムさんにとって大きなチャンスです。「10話なら突飛な発想でやれるんですけど」と本人が語るように、これまでとは異なる挑戦となります。

4.現代的なドラマ観との適合 『あまちゃん』のようなエネルギッシュで熱量のある作品ではなく、静かで丁寧に日常を描くバカリズムさんのスタイルは、Netflix世代の視聴者にも受け入れられやすいと考えられます。実際、『ブラッシュアップライフ』はNetflixでも配信され、国内外で再評価されています。

5.締切厳守への決意  バカリズムさん自身が会見で「締切厳守」を強調し、「遅れると悪口言われたり…」と演者としての経験から語っています。脚本家として責任を持って取り組む姿勢が伺えます。

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