人物像とカンヌでの躍進
中野有紗(なかの・ありさ)さんは、2005年に東京都で生まれた新進気鋭の若手女優です。現在20歳の彼女は、モデルとしてのキャリアをスタートさせ、ファッション誌「GINZA」でモデルデビューを果たしました。170cmという抜群のスタイルを活かし、『VOGUE JAPAN』『SPUR』『Casa BRUTUS』『Hanako』など、国内外の有名ファッション誌の表紙や誌面を飾ってきました。

彼女の名前が一躍世界に知られるようになったのは、2023年に開催された第76回カンヌ国際映画祭での出来事でした。世界的巨匠ヴィム・ヴェンダース監督の映画『PERFECT DAYS』に、役所広司さん演じる主人公の姪・ニコ役で出演し、同作品はカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に正式出品されました。この作品で役所さんが最優秀男優賞を受賞したことも大きな話題となりましたが、女優デビュー作でカンヌのレッドカーペットに立った中野さんの存在も、日本映画界に新たな風を吹き込むものとして注目されました。
カンヌでの経験について、中野さんは「これまでも家族で海外旅行に行ったことはあるのですが、ヨーロッパは初めてで、何もかもが初めての経験でした」と語っています。ヴェンダース監督とともに田中泯さん、アオイヤマダさんらと並んでフォトコールに臨む姿は、若手俳優としての大きな一歩となりました。
明星学園での学びと受賞歴
中野さんは明星学園高等学校に通い、2024年春に卒業しました。在学中から演技の世界に魅了され、中学1年生(7年生)の時には『国際協力中学生・高校生エッセイコンテスト2018』で佳作を受賞するなど、表現力豊かな一面を見せていました。
『PERFECT DAYS』での演技は高く評価され、2024年の「おおさかシネマフェスティバル」で新人女優賞を受賞しました。中野さんは受賞時に「何もかもが初めて、外国の監督で不安でしたが、ヴェンダース監督はありのままの私を受け入れてくれました」と感謝の言葉を述べています。そして2025年11月15日には、第17回TAMA映画賞において最優秀新進女優賞を受賞し、その演技力が改めて評価されました。
現在の活躍と多彩な表現活動
中野さんは女優としてのキャリアを着実に広げています。2024年にはHuluで配信されたオリジナルドラマ『まだゆめをみていたい』に出演し、配信作品での演技にも挑戦しました。2025年には辻村深月さん原作の映画『この夏の星を見る』で佐々野円華役を演じ、7月4日に全国公開されました。
さらに、2025年7月から9月にかけて放送されたカンテレ・フジテレビ系のドラマ『僕達はまだその星の校則を知らない』(通称「ぼくほし」)では、初の連続ドラマレギュラーとして北原かえで役に挑戦しました。磯村勇斗さん主演のこの学園ヒューマンドラマで、親の離婚に悩む高校3年生という難しい役柄を演じ、視聴者から高い評価を得ました。9月22日の最終回放送後、中野さんは「心から思っています」と初の連ドラ完走への思いを語り、生徒役としての”卒業”を迎えました。
国際的な活動も注目されています。2026年春に公開予定のフィリピンとの合作映画『この場所』では、主演の橋本レイナ役を務めています。ハイメ・パセナII世監督が東日本大震災を舞台に”心の復興”と”アイデンティティの再生”を描いたこの作品は、2024年に開催されたシネマラヤ・フィリピン独立映画祭で4部門を受賞し、2025年にはフィリピンで最も権威ある映画賞であるガワッド・ウリアン賞で最優秀女優賞を受賞しました。この国際的な評価は、中野さんの演技力が国境を越えて認められたことを示しています。
音楽活動への挑戦
俳優としての活動にとどまらず、中野さんは音楽の分野でも新たな挑戦を見せています。2024年8月21日には、P-VINEレコードから7インチシングル『青い魚』をリリースしました。これは若手女優を起用した音楽プロジェクト”Magico”の第一弾として制作されたもので、『PERFECT DAYS』の挿入歌としても使われた金延幸子さんの名曲をカバーしています。プロデュースは山本精一さんが担当し、中野さんの新たな表現の可能性を示す作品となりました。
俳優としての活動にとどまらず、中野さんは音楽の分野でも新たな挑戦を見せています。2024年8月21日には、P-VINEレコードから7インチシングル『青い魚』をリリースしました。これは若手女優を起用した音楽プロジェクト”Magico”の第一弾として制作されたもので、『PERFECT DAYS』の挿入歌としても使われた金延幸子さんの名曲をカバーしています。プロデュースは山本精一さんが担当し、中野さんの新たな表現の可能性を示す作品となりました。

カンヌ映画祭で新人の頃に話題になり、現在も活躍している俳優
柳楽優弥(やぎら ゆうや)
2004年、わずか14歳で是枝裕和監督の映画『誰も知らない』に主演し、第57回カンヌ国際映画祭で史上最年少かつ日本人初の最優秀男優賞を受賞しました。
受賞後は大きなプレッシャーに苦しみ、20代はアルバイト生活を送るなど苦しい時期を経験しましたが、その後復活。現在は映画やドラマで唯一無二の演技力を発揮し続け、日本を代表する実力派俳優として活躍しています。妻は女優の豊田エリーです。
役所広司(やくしょ こうじ)
2023年、ヴィム・ヴェンダース監督の『PERFECT DAYS(パーフェクト・デイズ)』で第76回カンヌ国際映画祭最優秀男優賞を受賞。柳楽優弥以来19年ぶり2人目の日本人受賞者となりました。
67歳での受賞は、長年のキャリアの集大成として評価され、本作は第96回アカデミー賞国際長編映画賞にもノミネート。国内興行収入は13億円を記録する大ヒットとなりました。
第17回TAMA映画賞と中野有紗さんの受賞、そして歴代の新進女優賞受賞者について詳しくご紹介します。
TAMA映画祭(TAMA CINEMA FORUM)とは
TAMA映画祭は、1991年に東京都多摩市制20周年記念事業として始まった映画祭です。市民ボランティアが企画・運営の中心を担う映画祭として、毎年11月に開催されています。
TAMA映画賞は2009年(第1回)に創設され、前年10月から当年9月に劇場公開された日本映画作品を対象に、「明日への元気を与えてくれる活力溢れる作品・監督・俳優」を表彰しています。T
第17回TAMA映画賞(2024年)全受賞者
2024年11月15日に東京・パルテノン多摩で授賞式が行われました。
最優秀作品賞
- 『国宝』(李相日監督)
- 『ルノワール』(早川千絵監督)
特別賞
- 『ふつうの子ども』(呉美保監督)
- 『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』(大九明子監督)
最優秀男優賞
- 長塚京三(『敵』)
- 吉沢亮(『国宝』『ババンババンバンバンパイア』)※史上初の2年連続受賞
最優秀女優賞
- 瀧内公美(『レイブンズ』ほか7作品)
- 広瀬すず(『遠い山なみの光』ほか5作品)
最優秀新進監督賞
- 平一紘(『木の上の軍隊』)
- 山元環(『この夏の星を見る』)
最優秀新進男優賞
- 萩原利久(『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』)
- 黒川想矢(『国宝』『この夏の星を見る』)
最優秀新進女優賞
- 桜田ひより(『この夏の星を見る』『大きな玉ねぎの下で』)
- 中野有紗(『この夏の星を見る』)
中野有紗さんについて
中野有紗さんは『この夏の星を見る』で最優秀新進女優賞を受賞しました。授賞理由では「登場人物の胸の内の思いをしっかりと受け止める豊かな感受性と、その溢れんばかりの思いを表情のみならず体のすみずみまで使って表現する高い感性」が評価されています。また、ヴィム・ヴェンダース監督の『PERFECT DAYS』(役所広司主演)にも出演しています。
TAMA映画賞 歴代新進女優賞受賞者
| 年度 | 受賞者 | 主な出演作品 |
| 2008年(第1回) | 満島ひかり、金澤美穂 | 『愛のむきだし』 |
| 2009年(第2回) | 安藤サクラ、忽那汐里 | 『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』 |
| 2010年(第3回) | 井上真央、二階堂ふみ | 『八日目の蝉』 |
| 2011年(第4回) | 前田敦子、橋本愛 | 『桐島、部活やめるってよ』 |
| 2012年(第5回) | 黒木華、刈谷友衣子 | 『横道世之介』 |
| 2013年(第6回) | 能年玲奈(現:のん)、門脇麦 | 『あまちゃん』関連 |
| 2014年(第7回) | 広瀬すず、杉咲花 | 『海街diary』 |
| 2015年(第8回) | 松岡茉優、小松菜奈 | 『ちょっと今から仕事やめてくる』 |
| 2016年(第9回) | 石橋静河、土屋太鳳 | 『夜空はいつでも最高密度の青色だ』 |
| 2017年(第10回) | 深川麻衣、伊藤沙莉 | 『あの娘が海辺で踊ってる』 |
| 2018年(第11回) | 岸井ゆきの、シム・ウンギョン | 『寝ても覚めても』 |
| 2019年(第12回) | 松本穂香、森七菜 | 『ラストレター』 |
| 2020年(第13回) | 三浦透子、伊藤万理華 | 『ドライブ・マイ・カー』 |
| 2021年(第14回) | 河合優実、伊東蒼 | 『PLAN 75』『愛なのに』 |
| 2022年(第15回) | 山田杏奈、髙石あかり | 『山女』 |
| 2023年(第16回) | 森田想、早瀬憩 | 『辰巳』『朽ちないサクラ』 |
| 2024年(第17回) | 中野有紗、桜田ひより | 『この夏の星を見る』 |
TAMA映画賞の新進女優賞は、その後大活躍する女優さんを多数輩出しており、日本映画界の登竜門的な賞として注目されています。
これからの可能性
エトレンヌ・エージェンシーに所属する中野有紗さんは、モデル、女優、そして音楽と、多方面での才能を開花させています。カンヌ国際映画祭でのデビュー、数々の新人賞受賞、そして国際映画での活躍と、わずか20歳にして輝かしいキャリアを築いています。ヴェンダース監督が評価したその自然体の演技と、独特の雰囲気を持つ存在感は、今後の日本映画界を担う重要な人材として期待されています。
『PERFECT DAYS』で世界にその名を知らしめた中野有紗さんは、これからも国内外で活躍の場を広げていくことでしょう。若手俳優として、そして表現者として、彼女の今後の挑戦から目が離せません。


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