英彦山に、氷でできた滝が現れる——そんな話を聞いたのは、寒波が近づいていた日のことでした。
かつて「幻の滝」と呼ばれた四王寺の滝が、厳しい冷え込みの中で氷瀑になるといいます。
半信半疑で向かった雪の山で、私はこれまでで一番の絶景に出会いました。
滝へ向かう道|静かな山に人の気配
滝へのルートは、正規の登山道から少し外れた場所にあります。
私は以前、夏に一度訪れたことがありました。
そのときの滝は、黒い溶岩の岩盤に水が細く流れるだけの、静かな場所。
とても「氷瀑になる」とは思えない姿でした。
彦山駅からバスに乗り、雪の中を歩き始めます。
すると、普段はほとんど人に会わない英彦山で、今日は明らかに人が多い。
同じ目的の人たちが、列をなして進んでいました。
目の前に現れた氷瀑
人の流れについて歩いていくと、前方から歓声が上がります。
しかし、自分の位置からはまだ何も見えません。
そして一歩進んだ瞬間――
目の前に、巨大な氷の壁が現れました。
これまで写真やネットで見てきた氷瀑とは、まったく違う迫力。
静寂の中に広がる、圧倒的な存在感。
「今まで見た中で、間違いなく一番の氷瀑だ」
そう思える景色でした。

鬼杉ルートへ|判断の難しさ
多くの人は氷瀑を見たあと、奉幣殿へ戻っていきます。
しかし私は迷った末、鬼杉へ向かうことにしました。
今思えば、これは少し無謀な判断でした。
何度も歩いたルートとはいえ、雪で足元は完全に隠れています。
一歩踏み外せば危険な場所もあります。
頼りは、たった一人分の足跡だけ。
それを辿りながら、慎重に進みました。
雪の鬼杉と、凍える昼食
鬼杉に到着すると、そこは真っ白な別世界でした。
昼食用に、もつ鍋を用意してきていました。
ベンチで火を起こし、温かいものを食べるつもりでしたが――
寒さが厳しすぎて、まったく沸騰しません。
もつは事前に火を通していたものの、キャベツは生のまま。
結果、固いキャベツのままの「もつ鍋」を食べることになりました。
これもまた、冬山らしい思い出です。

無事下山|冬山の魅力と怖さ
帰り道、雪は次第に弱まり、視界も落ち着いてきました。
慎重に歩き、無事に下山。
今回の山行は、
- 幻の滝が見せた圧巻の氷瀑
- 人の多さに驚いた英彦山
- 判断の難しさを感じた雪山ルート
さまざまな体験が詰まった一日でした。
【冬の英彦山・氷瀑を見に行く際の注意点】
・アイゼンは必須装備(滑落防止)
・慣れていないと爪を引っかけて転倒する危険あり
・岩場では歩きにくくなるため慎重に行動する
・雪で登山道が分かりにくくなる
・単独行の場合は特に無理をしない判断が重要
氷瀑は素晴らしい景色ですが、その分リスクも伴います。
しっかり準備をして、安全第一で楽しんでください。
まとめ
英彦山の四王寺の滝は、条件が揃ったときだけ現れる特別な景色です。
その美しさは、実際に目にした人にしか分からない迫力があります。
ただし、冬山は一歩間違えば危険も伴います。
しっかりとした準備と判断があってこそ、この景色に出会えます。
それにしても、これだけの素晴らしい氷瀑を見られたのは、幸運でした。
天気予報では明日は大雪です。もし雪で道路が通行できなかったし、もし通行できたとしてもこれだけのこれだけの迫力があり美しい氷瀑が見られたとは限りません。
本当に今日来て良かったと思いました。
「幻の氷瀑」は、ただ美しいだけでなく、自然の厳しさも教えてくれる存在でした。

英彦山で撮影した風景写真を、季節ごとにまとめました。
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初めての方でも迷わず楽しめるように見どころをまとめました。
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