太宰府天満宮｜学問の神様だけではない、道真の足跡と歴史ロマン

太宰府天満宮は学問の神様として全国的に知られていますが、わたしにとってはそれだけの神社ではありません。
菅原道真が京都から大宰府へ向かった道筋や、各地に残る足跡を知るにつれ、ひとつの神社を超えた壮大な歴史の流れを感じるようになりました。

太宰府天満宮と菅原道真の由緒

太宰府天満宮は、菅原道真公を御祭神として祀る神社です。
道真は政治の世界から遠ざけられ、大宰府に左遷されましたが、その死後、怨霊伝説とともに天神信仰が広がり、学問の神様として信仰を集めるようになったと伝えられています。

歴史の小径と万葉の世界

太宰府天満宮の駐車場裏からは、「歴史の小径」と呼ばれる散策路が続いています。
田園風景の中を歩くこの道沿いには、山上憶良や大伴家持など万葉歌人の歌碑が点在しており、静かな時間の流れの中で古代の息遣いを感じることができます.

坂本八幡宮と「令和」ゆかりの地

この散策路の途中にあるのが、「令和」の由来で知られる坂本八幡宮です。
当時の元号選定をきっかけに注目を集めましたが、宮司の西高辻氏が菅原道真の子孫と伝えられている点も、歴史好きには興味深いところです。

菅原道真の足跡が残る各地の天満宮

菅原道真は京都から大宰府へ向かう途中、各地に足跡を残しています。
山口県の防府天満宮周辺から九州へ渡ろうとした際、嵐に遭い、現在の福岡県椎田付近に上陸したと伝えられています。
この地には綱敷天満宮が祀られています。

身近な場所に残る道真伝承

わたしの住む地域にある葛原八幡宮には、和気清麻呂が祀られています。
ここには、椎田に上陸した菅原道真が参拝したと伝えられ、小さな「葛原天満宮」の祠が今も残されています。
遠い歴史が、身近な土地とつながっていることを実感させられます。

「天神」という地名に残る歴史ロマン

福岡最大の繁華街である「天神」という地名も、菅原道真に由来すると言われています。
船で上陸した際、水面に映る自らの姿を整えた場所に水鏡天満宮が祀られ、そこから天神の名が生まれたという説があります。
太宰府天満宮の信仰が、町の名前にまで影響していることに驚かされます。

太宰府天満宮が伝えているもの

太宰府天満宮は、学問の神様としてだけでなく、菅原道真の人生と日本史の流れを今に伝える神社です。
各地に点在する伝承や足跡を辿ることで、ひとつの神社が持つ奥行きの深さと、尽きることのない歴史ロマンを感じることができます。

本記事は「福岡の格式高い神社」を巡るシリーズの一つです。
同シリーズでは、次の神社についても紹介しています。