東京駅の日|辰野金吾設計の歴史と私の訪問体験

歴史・史跡めぐり

大正3年12月18日、日本を代表するターミナル駅・東京駅が完成しました。
この日を記念して、「東京駅の日」と呼ばれています。

わたしが東京駅に強く惹かれる理由は二つあります。
ひとつは、古い洋風建築、いわゆるレトロ建築が好きだからです。
そしてもうひとつは、この東京駅を設計した建築家・辰野金吾が、九州・佐賀県の出身だからです。

わたしの地元、福岡県北九州市には、同じ辰野金吾が設計した「門司港駅」があります。
門司港駅は、日本最初の本格的な鉄道駅舎のひとつとして知られ、現在は重要文化財にも指定されています。

東京駅と門司港駅。
規模こそ違いますが、どちらも辰野金吾らしい赤レンガ建築の魅力を感じる駅舎です。
そう考えると、遠い東京駅にもどこか親しみを感じずにはいられません。


東京駅は「巨大な駅」ではなく、歴史建築だった

特徴的な八角ドーム 撮影は筆者

東京駅というと、多くの人は「新幹線が集まる巨大ターミナル駅」という印象を持つかもしれません。

しかし、実際に訪れてみると、その印象は大きく変わりました。

まず驚いたのは、駅舎の大きさです。
写真では何度も見ていましたが、実際に目の前に立つと、左右に大きく広がる赤レンガの建物に圧倒されました。

そして特に印象的だったのが、南北にある八角形のドームです。

駅というよりも、美術館や宮殿のような雰囲気があり、「これが100年以上前に造られた建築なのか」と感心しました。

東京駅を設計した辰野金吾と九州とのつながり

門司港駅 撮影は筆者

東京駅を設計した辰野金吾は、1854年、現在の佐賀県唐津市に生まれました。

明治時代、日本は急速に西洋文化を取り入れていきましたが、その中心で活躍した建築家の一人が辰野金吾です。

日本銀行本店や大阪市中央公会堂など、日本近代建築を代表する建物にも関わっています。

その中でも東京駅は、辰野金吾の代表作とも言われています。

九州出身の建築家が、日本の玄関口とも言える駅を設計したという事実に、わたしは強い誇りのようなものを感じます。

また、門司港駅にも辰野金吾らしい特徴を見ることができます。

左右対称の美しい構造。
重厚感のあるデザイン。
細部までこだわった装飾。

東京駅を見た時、「門司港駅と通じる空気」を感じたのは、偶然ではなかったのだと思います。


初めて見た東京駅の印象

昨年5月、孫に会うため東京を訪れた際、東京駅へ立ち寄りました。

以前から写真や映像で何度も見ていましたが、実際に見る東京駅は、やはり迫力が違いました。

丸の内駅舎前の広場に立つと、赤レンガの壁面とドーム屋根が広がり、歴史の重みを感じます。

周囲には近代的な高層ビルが並んでいますが、その中でも東京駅は独特の存在感を放っていました。

特に印象的だったのは、「古い建物なのに古さを感じさせない」ということです。

修復・復元が丁寧に行われていることもありますが、それ以上に建築そのものの完成度が高いのでしょう。

その時は、外観を眺めるだけで満足していました。

しかし後になって、少し後悔することになります。


テレビ番組で知った、東京駅内部の魅力

後日、テレビ番組で東京駅の特集を見ました。

そこで紹介されていたのが、八角ドーム内部の装飾でした。

高い天井。
繊細なレリーフ。
復元された意匠。
そして、そこに込められた歴史。

「こんな場所があったのか」

そう思いました。

特に興味深かったのが、ドーム内部に設置された十二支のレリーフです。

しかし実際には、十二支すべてが揃っているわけではありません。

存在するのは八支のみ。

では、残り四支はどこにあるのか。

その答えが、辰野金吾の故郷・佐賀県武雄市にある「武雄温泉楼門」です。

この話を知った時、東京駅と九州が一本の線でつながったように感じました。


東京駅を再訪して感じたこと

八角ドームの内部 撮影は筆者

その後、再び東京を訪れる機会がありました。

今度は、「内部をしっかり見よう」と決めていました。

実際にドーム内部へ入ると、天井まで大きく吹き抜けになっており、見上げるだけで圧倒されます。

廻廊のように巡る構造も美しく、「駅」というより歴史的建築空間そのものです。

そして、実際に八角ドームを見たことで、テレビでは分からなかった空気感を感じました。

人が行き交う駅でありながら、不思議と静かな重厚感があります。

多くの人が急ぎ足で通り過ぎていますが、少し立ち止まって天井を見上げるだけで、東京駅の見え方は大きく変わると思います。


武雄温泉楼門にも感じる辰野金吾の世界

武雄温泉楼門 撮影は筆者

佐賀県武雄市にある武雄温泉楼門も、辰野金吾が設計した建築として有名です。

朱塗りの鮮やかな楼門は、東京駅とはまったく違う和風建築ですが、不思議と共通する美しさがあります。

特に、細部へのこだわりや、見る人を圧倒する存在感には、辰野金吾らしさを感じます。

東京駅と武雄温泉楼門。

洋風建築と和風建築。
まったく異なる建物ですが、どちらも「人を惹きつける力」を持っています。


東京駅は「通過点」ではなく、味わう場所だった

以前のわたしにとって、東京駅は単なる移動の拠点でした。

新幹線に乗る場所。
人が多い場所。
それくらいの認識だったと思います。

しかし、建築や歴史を知ったことで、東京駅は「味わう場所」へ変わりました。

ただ移動するだけでは見えてこない魅力があります。

建築を見る。
歴史を知る。
設計者の想いを想像する。

そうすると、駅そのものが旅の目的地になるのだと感じました。


まとめ|東京駅の日に、駅の意味を考える

「東京駅の日」は、単なる記念日ではなく、日本の近代建築や鉄道文化を振り返る日でもあると思います。

東京駅も門司港駅も、長い年月の中で、多くの人々を見送り、迎えてきました。

そこには、旅の思い出や人生の記憶が積み重なっています。

そして、辰野金吾が残した建築は、今もなお多くの人を魅了し続けています。

次に東京駅を訪れる時は、ぜひ少し立ち止まって、天井や赤レンガの壁を眺めてみてください。

きっと、「ただの駅」とは違う景色が見えてくると思います。

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