8月19日、阪神・ヤクルト戦。
まさかの連夜の大山選手のサヨナラ打。
岩崎投手が8回表に押し出しのフォアボールを与えた時は、こんな展開になるとは思ってもいませんでした。
流れを変えたのは、植田海選手の盗塁だったと思います。
もちろん、同点タイムリーを打った佐藤選手、サヨナラ犠牲フライを打った大山選手も素晴らしい活躍でした。
しかし、私が注目したのは、長年「足のスペシャリスト」として黙々と技を磨いてきた植田海選手です。
阪神ファンとして長年植田海選手を見てきた私は、ヒーローインタビューに答える姿を見て、思わず涙ぐみました。
そして私は、単なる盗塁ではなく、もう一つの「職人技」に注目しました。
経験不足を指摘された数年前
藤川監督がまだ監督に就任する前、岡田監督の時代だったと思います。
1塁に出塁した選手の代走に起用された植田海選手は、結局スタートを切ることができませんでした。
代走に送られた以上、2塁へ盗塁してチャンスを広げる役割が期待されていたはずです。
その時、テレビ中継の解説を務めていた藤川監督は、スタートを切れなかった植田選手について「経験不足ですね」と指摘していました。
それ以来、私は植田海選手の走塁に注目するようになりました。
足のスペシャリスト
植田海選手が、いつから「足のスペシャリスト」として起用されるようになったのか、正確には分かりません。
2014年のドラフト5位で、滋賀県の近江高校から内野手として入団しました。
記録を見ると、代走としての起用が増えたのは2021年頃からのようです。
2025年にはFA権を行使せず残留。
2026年には、福島圭音選手というライバルも現れました。
広角に打てる打撃と俊足を持つ福島選手に、一時は代走の役割を奪われていました。
しかし、最近では再び植田海選手の起用が増えています。
植田選手の職人技
植田海選手の盗塁は、この日の成功を合わせて4盗塁、失敗0です。
この日、代走に起用された際、解説の元阪神・秋山さんは、植田海選手について、この一瞬のために多くの時間をかけて準備していることや、守備も一級品であることを話していました。
実際、代走後に二塁の守備についた植田選手は、セカンドゴロを流れるような動きでさばきました。
グローブに入ったボールを一瞬で右手に持ち替え、一塁へ送球。
その動きは、まるでマジシャンのような速さでした。
そして9回裏。
0対1でリードされていた阪神は、先頭打者の森下選手がシングルヒットで出塁します。
そこで、植田海選手が代走に送られました。
佐藤選手の打席、2ボール1ストライクから植田選手が二塁へ盗塁。
キャッチャーの悪送球と二塁手との交錯もあり、植田選手は三塁へ進みます。
ここで私が目を奪われたのが、植田選手の三塁ベースでの動きでした。
右足から滑り込んだ植田選手は、その勢いのまま立ち上がり、左足でぴたりと三塁ベースに立ったのです。
この動きには、微塵の無駄もありません。
よく、ベースに滑り込んだ勢いで通り過ぎ、慌ててベースにつかまる姿を見かけます。
しかし、植田海選手は違いました。
滑り込みから立ち上がり、ベースに収まるまでの動きが実に自然です。
私はその姿に、職人の神髄を感じました。
今の阪神の強さとは
かつて藤川監督から「経験不足」と指摘された頃から、私は植田海選手を見てきました。
おそらく、そこからかなりの努力を重ね、走塁や守備の技術を磨き上げてきたのでしょう。
野球では、ホームランを打つ選手や勝利打点を挙げた選手に注目が集まります。
しかし、レギュラーだけではなく、こうした目立たないところで仕事をする選手の存在も、チームには欠かせません。
地道に技を磨いてきた選手たちの支えがあってこそ、今の阪神の強さがある。
私は、この日の植田海選手のプレーを見て、そんなことを感じました。
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