5月も中旬になり、気温が25度近くまで上がる日も増えてきました。春の柔らかな空気から、少しずつ夏の気配へと季節が変わり始めています。

4月に歩いた平尾台は、まだ野焼きの跡が残り、黒く焼けた草原の中に春の花が咲き始めたばかりでした。しかし、それから一か月ほど経ち、そろそろ平尾台も初夏の景色に変わっている頃ではないかと思い、再び平尾台へ向かいました。
29のカーブを登り、吹上峠に近づくと、視界いっぱいに広がるカルスト台地は、すっかり緑の草原へと変わっていました。あの黒かった大地が、短い期間でここまで変わることに毎回驚かされます。
朝8時半ごろの茶ヶ床園地駐車場には、まだ車が1台止まっているだけでした。空は快晴。日差しは強いものの、吹き抜ける風はまだ涼しく、歩くにはちょうど良い季節です。
登山靴を履き、まずは広谷湿原へ向かいました。
茶ヶ床から広谷湿原へ

撮影は筆者


平尾台の花について記事はこちら
アスファルトの道を歩き始めると、道端には初夏の花が咲いていました。
紫色のノアザミ、淡いピンク色のカノコソウと思われる花、黄色いウマノアシガタ。春に歩いた時とは、咲いている花がまったく違います。
平尾台は季節によって風景が大きく変わりますが、花の種類が次々と入れ替わるのも魅力のひとつです。
緩やかな坂を登り、中峠まで来て後ろを振り返ると、遠くからひとりの人が歩いて来るのが見えました。茶ヶ床園地駐車場にも、いつの間にか4〜5台ほど車が増えています。
周囲は一面の緑の草原。右前方には、平尾台を代表する岩峰のひとつ「鬼の唐手岩」が見えています。
春先にはまだ茶色かった草原も、今では鮮やかな緑色に変わり、初夏の平尾台らしい風景になっていました。
広谷湿原はこれから花の季節を迎える

中峠からゆっくり下ると、広谷湿原の入口があります。
以前来た時は、遊歩道に草が伸び、雑草をかき分けるように歩いた記憶があります。しかし今回はかなり整備されており、とても歩きやすくなっていました。
展望台から湿原を見渡すと、一面が草に覆われています。まだ花は少ないですが、これから広谷湿原は最も美しい季節を迎えます。
6月にはノハナショウブ、夏になるとサワギキョウやサギソウなど、湿原特有の植物が次々と咲き始めます。
広谷湿原は、まさにこれからが本番です。
湿原の奥へ進むと、足元には小さな清流が流れています。この水が滝不動へと流れ込んでいるのです。
静かな湿原の中では、水の流れる音だけが聞こえていました。
鬼の唐手岩の下を歩く

鬼の唐手岩の下を進んで行くと、分岐があります。
左へ行くと鬼の唐手岩と広谷台方面、右へ行くと青龍窟方面です。
その分岐の一本の木の上で、一羽の鳥がずっと鳴いていました。
ホオアカです。
平尾台ではよく見かける鳥ですが、草原の中で聞く鳴き声はとても印象的です。周囲に人工的な音がほとんど無いため、小さな鳥の声でもよく響きます。
鬼の唐手岩の岩肌と、広がる緑の草原。その中に響く鳥の声を聞いていると、平尾台の自然の豊かさを改めて感じます。
そこまで歩いて、一旦駐車場へ引き返しました。
戻る途中では、多くの人とすれ違いました。朝は静かだった平尾台も、次第に人が増え始めています。
駐車場へ戻る頃には、車はほぼ満車になっていました。
空には、まるで真夏のような大きな雲が浮かんでいます。
風神山へ向かう

次に向かったのは風神山です。
ここは平尾台の中でも、私の好きな場所のひとつです。
千貫岩駐車場に車を止めます。この駐車場は比較的静かで、いつ来てもあまり混雑していません。
駐車場から遊歩道を歩き始めると、道端には再びノアザミが咲いていました。
この周辺は、夏になるとコオニユリやコヒメユリも咲き始めます。
前方には、草原の中に小さく風神の祠が見えています。
風神山周辺は、平尾台の中でも比較的なだらかな地形で、日当たりが良いため、夏にはキキョウなどの群生が現れます。
風神の祠の近くでは、中年の女性がシートを広げ、ゆっくり弁当を食べていました。
強い日差しの下でも、風が吹くと心地よく、真夏になる前の平尾台はアウトドアには最適な季節だと感じます。
風神山から見える景色

風神山からは、行橋の町と周防灘が見渡せます。
海は太陽の光を反射して輝き、遠くまで景色が広がっていました。
前方の東尾根の中腹には、岩が突き出した天狗岩も見えています。
平尾台はカルスト台地特有の白い石灰岩が広がる景色が有名ですが、初夏になると、その岩の間を緑の草原が覆い、独特の風景になります。
青空、白い岩、緑の草原。
この組み合わせは、初夏の平尾台ならではの景色です。
これから始まる夏の平尾台
平尾台の楽しみは、まだこれから続きます。
これから気温が上がると、草原にはさらに多くの花が咲き始めます。そして暑くなる季節には、平尾台にある3つの観光鍾乳洞も魅力的な場所になります。
外は真夏の暑さでも、鍾乳洞の中はひんやりとして別世界のようです。
春から初夏、そして夏へ。



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